<「20度近い温度差をどう解釈すべきか(3)」に続いています>
これまでのデータから、次のような発見と考察を行いました。数字は最新の観測値を踏まえて更新しています。
サマリー
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1)千葉測候所が観測している千葉市の最高気温と、そこから約7キロ西北にある拙宅の「緑のカーテン」内の最高温度には、強い連動性(相関)がある。連動性を示すR²は0.9程度(1の場合は完全に連動)
2)ただし、千葉市の最高気温よりも、「緑のカーテン」内の最高温度の方が低くなる傾向がある。具体的には千葉市の最高気温が1度上がった場合にも、「カーテン」内の温度の上昇は0.9度程度にとどまる関係が見て取れる。
4)だとすれば、「カーテン」内外の温度差を①気化熱効果②日陰効果にわけて分析できるはず。
5)そこで、観測日ごとの「気化熱相当分」を算出した。
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12日までのデータで作った
千葉市の最高気温と「カーテン」内の最高温度の相関
(数字はいずれもその日の最高気温、最高温度)

このグラフの青線部分が千葉市の最高気温と「カーテン」内の最高温度の関係を示しています。千葉市の気温を推計式f(x)=0.88x+3.45に代入して算出された推計「カーテン」内温度を、千葉市の気温から差し引くことで、「推計気化熱相当分」(「千葉市の気温」-「推計カーテン内」)が出ます。
以下、これまでの観測結果に適用した一覧表です。
日 |
千葉市の
最高気温
|
カーテン外 |
カーテン内 |
内外温度差 |
推計
カーテン内 |
推計気化熱
相当分
|
暫定日陰 効果相当分 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
6月29日 |
35 |
38.3 |
34.1 |
4.2 |
34.25 |
0.75 |
3.45 |
6月30日 |
33.8 |
34.3 |
31.6 |
2.7 |
33.19 |
0.61 |
2.09 |
7月1日 |
33.7 |
36.5 |
32.1 |
4.4 |
33.11 |
0.59 |
3.81 |
7月3日 |
31.4 |
37 |
30.7 |
6.3 |
31.08 |
0.32 |
5.98 |
7月4日 |
30.8 |
33 |
30.5 |
2.5 |
30.55 |
0.25 |
2.25 |
7月5日 |
31.4 |
35.1 |
31.3 |
3.8 |
31.08 |
0.32 |
3.48 |
7月6日 |
32.1 |
38.7 |
32.6 |
6.1 |
31.70 |
0.40 |
5.70 |
7月7日 |
29.3 |
32.8 |
29 |
3.8 |
29.23 |
0.07 |
3.73 |
7月8日 |
30.2 |
29.4 |
28.1 |
1.3 |
30.03 |
0.17 |
1.13 |
7月9日 |
30.5 |
34.2 |
31 |
3.2 |
30.29 |
0.21 |
2.99 |
7月10日 |
31.5 |
35.3 |
31.5 |
3.8 |
31.17 |
0.33 |
3.47 |
7月11日 |
31.9 |
35 |
31.5 |
3.5 |
31.52 |
0.38 |
3.12 |
7月12日 |
31.6 |
35.4 |
31.8 |
3.6 |
31.26 |
0.34 |
3.26 |
7月13日 |
31.4 |
40.3 |
31.5 |
8.8 |
31.08 |
0.32 |
8.48 |
7月14日 |
32.3 |
42.6 |
32.1 |
10.5 |
31.87 |
0.43 |
10.07 |
7月15日 |
33 |
42.8 |
32.4 |
10.4 |
32.49 |
0.51 |
9.89 |
7月16日 |
31.8 |
40.6 |
31.3 |
9.3 |
31.43 |
0.37 |
8.93 |
7月17日 |
33.8 |
43.1 |
33.2 |
9.9 |
33.19 |
0.61 |
9.29 |
7月18日 |
32.4 |
36 |
30.7 |
5.3 |
31.96 |
0.44 |
4.86 |
7月19日 |
29.1 |
30 |
28.9 |
1.1 |
29.06 |
0.04 |
1.06 |
7月20日 |
30.1 |
34.5 |
29.8 |
4.7 |
29.94 |
0.16 |
4.54 |
7月21日 |
23.1 |
27.1 |
24.7 |
2.4 |
23.78 |
-0.68 |
3.08 |
7月22日 |
25.2 |
44 |
26.4 |
17.6 |
25.63 |
-0.43 |
18.03 |
7月23日 |
24.7 |
32.2 |
24.3 |
7.9 |
25.19 |
-0.49 |
8.39 |
7月24日 |
28.2 |
40.6 |
28.1 |
12.5 |
28.27 |
-0.07 |
12.57 |
7月25日 |
30.6 |
42.9 |
29.8 |
13.1 |
30.38 |
0.22 |
12.88 |
7月26日 |
29.5 |
34.6 |
27.6 |
7 |
29.41 |
0.09 |
6.91 |
7月27日 |
29.7 |
39.1 |
28.4 |
10.7 |
29.59 |
0.11 |
10.59 |
7月28日 |
29 |
33.3 |
27.7 |
5.6 |
28.97 |
0.03 |
5.57 |
7月29日 |
28.4 |
43.9 |
28.3 |
15.6 |
28.44 |
-0.04 |
15.64 |
7月30日 |
29.3 |
46 |
28.5 |
17.5 |
29.23 |
0.07 |
17.43 |
8月1日 |
27.8 |
45.7 |
28.1 |
17.6 |
27.91 |
-0.11 |
17.71 |
8月2日 |
29.7 |
46.8 |
29 |
17.8 |
29.59 |
0.11 |
17.69 |
8月3日 |
30 |
49.2 |
29.5 |
19.7 |
29.85 |
0.15 |
19.55 |
8月4日 |
31.8 |
51.7 |
31.1 |
20.6 |
31.43 |
0.37 |
20.23 |
8月5日 |
30 |
50.5 |
31.9 |
18.6 |
29.85 |
0.15 |
18.45 |
8月6日 |
31.2 |
45.8 |
32.1 |
13.7 |
30.91 |
0.29 |
13.41 |
8月7日 |
33.3 |
46.8 |
32.6 |
14.2 |
32.75 |
0.55 |
13.65 |
8月8日 |
32.6 |
46 |
32.8 |
13.2 |
32.14 |
0.46 |
12.74 |
8月9日 |
33.8 |
46.2 |
33.7 |
12.5 |
33.19 |
0.61 |
11.89 |
8月10日 |
34.3 |
45.7 |
34.2 |
11.5 |
33.63 |
0.67 |
10.83 |
8月11日 |
34.3 |
46.4 |
33.9 |
12.5 |
33.63 |
0.67 |
11.83 |
8月12日 |
36.3 |
53 |
35.2 |
17.8 |
35.39 |
0.91 |
16.89 |
☆内外温度差=推計気化熱相当分+暫定日陰効果相当分
例えば、8月12日のデータで見ると、
千葉市の気温(36.3度)を、カーテン内の推計式に代入することで、「推計カーテン内」(35.39度)が導き出されます。両値の差が「推計気化熱相当分」(36.3-35.39=0.91)となるわけです。
一方で、「カーテン」内外の実測温度差は17.8度ですから、ここから「推計気化熱相当分」を差し引くと、「暫定日陰効果相当分」(16.89度)が出てくることになります。「暫定」と断っているのは、全体から推計値を差っ引いただけで、なんら検証していないためです。
ここで、それぞれの効果相当分が気温とどんな関係にあるのかを見てみましょう。

X軸に千葉市の最高気温をY軸に「推計気化熱相当分」と「暫定日陰効果相当分」をとっています。このうち下の緑線の上に、きれいに一直線に並んでいるのが、「推計気化熱相当分」です。
直線上に並ぶのは当たり前で、推計式に当てはめて算出しているからです。仮説に沿った理論値です。
一方で、「暫定日陰効果相当分」はまったく無秩序に座標上にばらまかれています。
推計式を示す直線を引いていますが、R²は0.00ですから、少なくともこのデータからは、関係性は見つけられないということになります。
では、「暫定日陰効果相当分」は何と関係があるかというと、「カーテン」外の値です。
下のグラフは、X軸に「カーテン」外の最高温度、Y軸に「暫定日陰効果相当分」を取っています。

R²は約0.8で、関係はかなり強いといえます。
さて、これで、
1)千葉市の最高気温から、「緑のカーテン」内の最高温度の推計が可能になり
2)千葉市の最高気温から、「緑のカーテン」内の推計最高温度を差し引くことで、「気化熱相当分」の推計も可能になり
2)「緑のカーテン」外の最高温度から、「日陰効果相当分」の推計が可能になりました。
これらの推計を実際の観測データに当てはめたグラフは次のようになります。
「カーテン」内外の温度差と推計の日陰効果、気化熱効果

緑の線が、日々計測した「緑のカーテン」の内外温度差、オレンジの棒グラフが、温度差のうちの「日陰効果」と推計される部分、赤の棒グラフが温度差のうちの「気化熱相当」と推計される部分です。
実測値と棒グラフ(「日陰」と「気化熱」を積み重ねてます)がほぼ連動していることが分かるかと思います。また、気化熱相当分はほとんど全体に影響を与えていないことも伺えます。
「緑のカーテン」の主要な効果は「日光を遮る」ところに因っていると思われます。
しかし、「緑のカーテン」外の温度がどんな要因で決まるのかは、なお不明です。次は何とかして、これを追求したいところです。
(この項続く)

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