総括⑥気化熱効果と日陰効果の推計

総括分析

前回のブログで、千葉市の最高気温とその日の「緑のカーテン」内の最高温度の間に強固な相関関係が成り立っていることがわかりました。再掲すると

「カーテン」内の最高温度=0.93×「千葉市の最高気温」+1.77

となります。相関係数は0.92でした。

この数式をグラフにしてみると面白いことがわかります。

千葉市の最高気温と推計「カーテン内」最高温度の関係.jpg

 

X軸が千葉市の最高気温、Y軸が「緑のカーテン」内の最高温度の推計値です。赤い線は補助線で、この線より下の領域では、千葉市の最高気温よりも「カーテン」内の最高温度が低いことを示しています。

千葉市の最高気温が27度の辺りで、赤線と青線が交差しています。これよりも気温が低いと、「カーテン」内の温度が千葉市の最高気温を上回ってしまうのです。「逆気化熱効果」とでもいうのでしょうか。観測結果からも、千葉市の最高気温が27度以下の日は、「カーテン」内の最高温度の方が高い結果になっています。

さて、前掲の数式は、千葉市の最高気温から、その日の「カーテン」内の最高温度を推計値(理論値)として導くことができることを示しています。当ブログでは、両値の差を「気化熱効果」とみなしていますから、気化熱効果も理論値として推計できます。

日付

カーテン外

カーテン内

内外温度差

千葉市最高気温

推計カーテン内最高温度

推計気化熱効果

内外温度差−推計気化熱効果

6月29日

38.3

34.1

4.2

35

34.5

0.5

3.7

6月30日

34.3

31.6

2.7

33.8

33.3

0.5

2.2

7月1日

36.5

32.1

4.4

33.7

33.2

0.5

3.9

7月3日

37

30.7

6.3

31.4

31.1

0.3

6.0

7月5日

35.1

31.3

3.8

31.4

31.1

0.3

3.5

7月7日

32.8

29

3.8

29.3

29.1

0.2

3.6

7月9日

34.2

31

3.2

30.5

30.3

0.2

3.0

7月10日

35.3

31.5

3.8

31.5

31.2

0.3

3.5

7月11日

35

31.5

3.5

31.9

31.6

0.3

3.2

7月12日

35.4

31.8

3.6

31.6

31.3

0.3

3.3

7月13日

40.3

31.5

8.8

31.4

31.1

0.3

8.5

7月14日

42.6

32.1

10.5

32.3

31.9

0.4

10.1

7月15日

42.8

32.4

10.4

33

32.6

0.4

10.0

7月16日

40.6

31.3

9.3

31.8

31.5

0.3

9.0

7月18日

36

30.7

5.3

32.4

32.0

0.4

4.9

7月21日

27.1

24.7

2.4

23.1

23.3

-0.2

2.6

7月22日

44

26.4

17.6

25.2

25.3

-0.1

17.7

7月23日

32.2

24.3

7.9

24.7

24.8

-0.1

8.0

7月24日

40.6

28.1

12.5

28.2

28.1

0.1

12.4

7月26日

34.6

27.6

7

29.5

29.3

0.2

6.8

7月27日

39.1

28.4

10.7

29.7

29.5

0.2

10.5

7月28日

33.3

27.7

5.6

29

28.9

0.1

5.5

7月29日

43.9

28.3

15.6

28.4

28.3

0.1

15.5

7月30日

46

28.5

17.5

29.3

29.1

0.2

17.3

8月1日

45.7

28.1

17.6

27.8

27.7

0.1

17.5

8月2日

46.8

29

17.8

29.7

29.5

0.2

17.6

8月3日

49.2

29.5

19.7

30

29.8

0.2

19.5

8月4日

51.7

31.1

20.6

31.8

31.5

0.3

20.3

8月5日

50.5

31.9

18.6

30

29.8

0.2

18.4

8月6日

45.8

32.1

13.7

31.2

30.9

0.3

13.4

8月7日

46.8

32.6

14.2

33.3

32.9

0.4

13.8

8月8日

46

32.8

13.2

32.6

32.2

0.4

12.8

8月10日

45.7

34.2

11.5

34.3

33.8

0.5

11.0

8月11日

46.4

33.9

12.5

34.3

33.8

0.5

12.0

8月12日

53

35.2

17.8

36.3

35.7

0.6

17.2

8月13日

47.3

35.2

12.1

33.7

33.2

0.5

11.6

8月14日

44.9

34

10.9

33.6

33.2

0.4

10.5

8月15日

44.8

33.6

11.2

33.1

32.7

0.4

10.8

8月17日

46.9

34.5

12.4

34.4

33.9

0.5

11.9

8月20日

29.7

25.5

4.2

25.9

26.0

-0.1

4.3

8月22日

24.3

22.5

1.8

23.1

23.3

-0.2

2.0
 
緑のカーテンの効果は「日陰効果」と「気化熱効果」があります。このうちの気化熱効果が推計できれば、内外温度差(「カーテン」外ー「カーテン」内)からこれを差し引くことで、「日陰効果」を分離することが可能になります。表の一番右の列が分離後の「暫定日陰効果」です。暫定と名がついているのは、まだ検証できていないためです。検証出来れば推計(理論値)が出せるようになるはずです。
 
ごちゃごちゃしていますので、整理しておきます。
 
「内外温度差」=推計気化熱効果+暫定日陰効果
暫定日陰効果=推計日陰効果+残差(推計できないノイズの部分)
 
つまり
 
「内外温度差」=推計気化熱効果+推計日陰効果+残差
 
では、推計日陰効果を捕まえたいと思います。
 
「カーテン」外と暫定日陰効果の関係.jpg
X軸は「カーテン」外の最高温度、Y軸は内外温度差から、「気化熱効果」(推計値)を差し引いた「暫定日陰効果」です。
 
数式にあるように両値の間には
 
Y=0.72X−19.46
 
という関係が成立します。相関係数は0.78なので、千葉市の最高気温と「カーテン」内の最高温度の関係ほど明確ではありませんが、それでも「暫定日陰効果」の8割程度分は「カーテン」外の最高温度で説明できることになります。この数式が「推計日陰効果」を導く推計式です。
 
これで、
 
①千葉市の最高気温から、「気化熱効果」が
②「カーテン」外の最高温度から「日陰効果」が、
 
それぞれ推計できるようになったわけです
次のグラフは、内外温度差の内訳を「日陰効果」「気化熱効果」「残差」に分解したものです。
 
内外温度差の内訳分析.jpg
 これを見ると、緑のカーテンの効果はほとんど、「日陰効果」であることが推測されます。
「残差」は推計からは捉えられない要因で生じた部分ですが、前半と後半にはマイナスに偏り、中盤にはプラスに偏っているのが気になります。
 
プラスの期間は、7月21日から8月5日です。これほどくっきりと分かれるのは、推計式に捉えきれていないなにかの要因があるとしか思えませんが、思いつきません。推計式はすべて一次方程式の形をとっていますが、もっと複雑な数式でないとシミュレートがうまくいかないのかも知れません。
 
それから、最大の謎は、「カーテン」外の最高温度と千葉市の最高気温の関係が今ひとつわからないことです。色々とやってみても、関係を捉えきれません。この辺りが課題だと考えています。

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