総括⑤平均10度の温度差=修正後のデータ分析

総括分析

前2回のブログに示した考え方に基づいて、通算80日を超える観測データの中から、本当に「緑のカーテンの効果」が発揮されたと考えられるデータを絞り込みました。

具体的には、①カーテン下部がスカスカになって千葉市の気温と「カーテン内」の温度の関係が失われた8月24日以降のデータは排除②「カーテン」内外で最高温度を記録した時刻が極端に離れている日のデータも排除−−しました。

絞り込み後の記録数は41日分と、観測日数のほぼ半数になりました。これを公式の記録としたいと思います。

まずはグラフで見てみます。 赤い線が「緑のカーテン」外の最高温度、緑の線が「カーテン」内の最高温度、黄色の線は参考のためにつけた千葉市の最高気温(千葉測候所)です。

観測日修正後のグラフ

修正後のグラフ.jpg
 

「カーテン」外の温度が上がっても、カーテンがフィルターのような役割を果たして、内側の温度を和らげている様子がわかります。概要は以下の表にまとめました。

平均・最低・最高表

カーテン外 時間 カーテン内 時間 気温差
平均値
40.5

14:36

30.5

14:49

10.0
最大値
53.0

16:34

35.2

16:36

20.6
最小値
24.3

12:55

22.5

13:04

1.80

 

「カーテン外」の最高温度が非常に高いのが目につきます。平均で40度を超え、最高値は53度に達しています。異常なほどの高温のように思えますが、強い直射日光のせいと思われます。夏場になると、猫が踊るほどトタン屋根が焼けるのと同じ理屈です。

「カーテン」外の観測点は、下の写真の中央にある吸盤の部分です。雲南百薬の葉の上に乗っていますが、この葉は8月末ごろ、いつの間にか枯れ落ちていました。雲南百薬の葉はその周囲に見えるゴーヤの葉に比べて表面がつやつやしているのがわかると思います。このつやつやのせいで、照り返しが強かったのかもしれません。

 R0011341.JPG

「緑のカーテン」の効果として定義した「内外温度差」は平均で10度、最高で20.6度と、こちらもかなりの大きな差になっています。グラフを見てもらうと一目瞭然ですが、「カーテン」外の温度がかなりの高温になった日に大きな差がでています。

ここで、「カーテン」内の最高温度と千葉市の最高気温(千葉測候所)の関係を見てみます。下のグラフはX軸に千葉市の最高気温をY軸にその日の「カーテン」内の最高温度をプロットしたものです。

 

千葉市の最高気温と「カーテン」内の最高温度.jpg
 
直線は近似直線です。フォントが小さくてわかりづらいのですが、両者の関係を示す相関係数は0.92と強固な相関関係が観測されています。また、f(x)=0.93×+1.77という数式は、
 
<千葉市の最高気温が1度上昇(下降)したら、「カーテン」内の最高温度は0.93度上昇(下降)する>
 
という関係が成り立っていることを示しています。「カーテン」内のほうが、わずかに温度の上がり方が穏やかなのです。
 
千葉市の最高気温は、風通しの良い日陰で観測されています(千葉市でなくても、公式な気温の観測は常に、風通しの良い日陰で行われるように定められています)。「緑のカーテン」内も風通しのよい日陰になっていますから、「カーテン」内の最高温度と千葉市の最高気温がほとんど同じなのは理になかった結果です。また、「カーテン」内の最高温度が千葉市の最高気温より温度の上がり方が穏やかなのは、「緑のカーテン」の葉が水分を蒸発する時に、「気化熱」を奪う効果と推定されます。
「緑のカーテン」の効果は「気化熱」以外にも日差しを避ける効果(日陰効果)がありますが、今回の観測結果からは、「気化熱効果」はわずかであることが示唆されています。先ほどの数式から、1度の気温上昇に対して、0.07度の温度低下効果が推計されているからです。
 
ここで、42日間の観測結果を表にまとめておきます。

 

日付 カーテン外 時間 カーテン内 時間
6月29日
38.3

14:37

34.1

14:37
6月30日
34.3

13:48

31.6

13:49
7月1日
36.5

13:44

32.1

13:54
7月3日
37

15:15

30.7

15:13
7月5日
35.1

15:14

31.3

15:10
7月7日
32.8

14:03

29

14:44
7月9日
34.2

16:09

31

16:10
7月10日
35.3

14:39

31.5

14:41
7月11日
35

13:57

31.5

14:55
7月12日
35.4

14:58

31.8

14:58
7月13日
40.3

14:41

31.5

14:43
7月14日
42.6

15:06

32.1

15:06
7月15日
42.8

15:34

32.4

15:24
7月16日
40.6

14:45

31.3

14:59
7月18日
36

12:55

30.7

13:07
7月21日
27.1

14:47

24.7

14:57
7月22日
44

14:30

26.4

14:33
7月23日
32.2

12:58

24.3

13:04
7月24日
40.6

13:20

28.1

13:52
7月26日
34.6

16:31

27.6

16:32
7月27日
39.1

14:29

28.4

14:30
7月28日
33.3

15:46

27.7

15:44
7月29日
43.9

16:07

28.3

16:11
7月30日
46

14:36

28.5

15:05
8月1日
45.7

16:34

28.1

16:36
8月2日
46.8

14:29

29

15:02
8月3日
49.2

15:22

29.5

15:25
8月4日
51.7

14:56

31.1

14:58
8月5日
50.5

15:09

31.9

15:24
8月6日
45.8

14:06

32.1

15:01
8月7日
46.8

13:07

32.6

13:16
8月8日
46

14:24

32.8

14:28
8月10日
45.7

14:11

34.2

15:20
8月11日
46.4

13:44

33.9

14:22
8月12日
53

14:12

35.2

15:03
8月13日
47.3

14:19

35.2

14:31
8月14日
44.9

14:01

34

14:03
8月15日
44.8

14:24

33.6

14:23
8月17日
46.9

14:49

34.5

15:39
8月20日
29.7

13:38

25.5

13:43
8月22日
24.3

14:46

22.5

14:54

 

次回は、「緑のカーテンの効果」のほとんどを占める「日陰効果」について分析します。

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