タイに出かけている間に、「緑のカーテン」内外の温度差が連日記録を更新し、ついには20度に迫るところまできてしまいました。
この間、拙宅のある千葉を含む首都圏はそれほど暑くならず、その結果として、節電もうまくいっていると報道されていました。それはご同慶の至りなのですが、私の頭には大きな疑問符がついていました。
本日帰国してみますと、確かにそれほど暑くないです。
なぜたいして暑くもないのに、「緑のカーテン」の効果が20度近くまであるのか。本日はこの問題を考えてみたいと思います。

計測開始以来の「緑のカーテン」内外の最高温度のグラフです。これまで温度差に着目して棒グラフにしていましたが、今回はレベルを見たいので折れ線にしています。
まず、全体を見ると、「カーテン」外の最高温度は乱高下しながらも日を追うに連れて高まっているのに対し、「カーテン」内の温度は、むしろ下がる傾向が見て取れます。
実測値でいえば、7月18日(30.7度)までは30度を超えることが珍しくなかったのに、19日以降は30度を一度も上回っていません。
次に「カーテン」内外の関係に着目すると、いくつかのフェーズにわかれることがわかります。
一番左の楕円に囲まれている最初のフェーズでは、内外の温度が相似形をなし、連動して動いています。
ところが、次のフェーズに入ると、「カーテン」外の温度は急上昇をしていますが、「カーテン」内の温度はそれほどでもありません。
その次のフェーズ(右から2番目の楕円に囲まれた部分)になると、「カーテン」内の温度は一段と低くなる一方で、「カーテン」外の温度は乱高下しています。このころ台風6号「マーゴン」が日本列島近辺に居座っていたのはご案内の通りです。
直近のフェーズになると、「カーテン」外の温度が急上昇し、「カーテン」内は横ばいか緩やかな上昇にとどまっています。
別のグラフでも確認してみたいと思います。

このグラフは、7月20日のブログ「『カーテン』成長の証拠? 強まる”冷却”効果」で使ったものと同じです。ただし、昨日までの推移も追加しています。
もう度々解説していますが、改めて解説します。
X軸に「緑のカーテン」外の最高温度をY軸に「緑のカーテン」内の最高温度をとり、日々の組み合わせをプロットしています。6月29日の計測開始日から昨日まで、データが不備だった2日間を除いて、計34日分のデータが点で示されています。凡例を示しますと
◆=最初の7日(6月29日〜7月6日) 赤い直線は傾向を示す回帰直線
▼=次の7日(7月7日〜7月13日) 青い直線は傾向を示す回帰直線
▼=次の7日(7月14日〜7月20日) 黄色い直線は傾向を示す回帰直線
▲=次の7日(7月21日〜7月27日) 緑色の直線は傾向を示す回帰直線
▶=次の6日(7月28日〜8月3日) 紫の直線は傾向を示す回帰直線
です。そして、
回帰直線の数式のうち
xの係数は直線の傾きを示し、小さければ小さいほど「緑のカーテン」の効果が大きいことを、
R²は0〜1の値を取り、1に近いほど「カーテン」内外の数値の連動性が高いことを
それぞれ示しています。
さて、この4本の直線と数式に着目して見ると
1)傾きは後になるに連れて緩やかになっている
xの係数は、0.42→0.35→0.29→0.23→0.09
2)他の3本の直線がx軸25度の当たりで交差しているのに対し、「マーゴン」到来時期に当たる緑線だけ、全体の水準が低いところに直線が引かれている
以上のうち、1)の結果から、7月20日の上記ブログでは、
「カーテン」が成長したため
と推測しました。
しかし、直近のxの係数は0.09と、傾きは限りなく小さくなっています。
これは、「カーテン」外の温度が1度上がっても「カーテン」内の温度は0.09度しか上がらないことを意味していますから、ここまでの極端な効果をカーテンの成長の効果とするのには無理があります。
(この項続く)

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